2025年9月11日、欧州化学品庁(ECHA)は、欧州連合司法裁判所の2025年6月の判決に従い、チタン二酸化物の発がん性分類を取り消すことを発表しました。これにより、調和分類はC&Lインベントリから削除され、関連する登録意向もそれに応じて更新されました。同時に、チタン二酸化物の分類および表示に関するガイダンス文書も撤回されました。
判決の要点まとめ
2016年に、フランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)は、粉末状チタン二酸化物を「吸入発がん性物質」として分類するようECHAに提案しました。2017年にECHAのリスク評価委員会(RAC)はこの意見を採択し、「カテゴリー2の疑わしい発がん性物質」としての分類を支持しました。2019年10月、欧州委員会は委任規則(EU)2020/217を可決し、「粉末状チタン二酸化物(粒子が≥1%、粒径≤10ミクロン)」を正式に「カテゴリー2の疑わしい発がん性物質」としてリストに掲載し、「H351:吸入により発がんのおそれがある」という警告表示の付加を義務付けました。
その後、複数のチタン二酸化物の製造者、輸入者、下流使用者が欧州連合一般裁判所に訴訟を提起しました。2022年11月、一般裁判所は欧州委員会が主要な科学的研究の採用に「明白な誤り」を犯し、チタン二酸化物に固有の発がん性があることを十分に証明できなかったとして分類を無効とする判決を下しました。フランスと欧州委員会はこの判決を欧州連合司法裁判所に控訴しました。2025年6月、司法裁判所は最終判決を下し、フランスと欧州委員会の控訴を棄却し、一般裁判所の2022年11月の決定を支持し、チタン二酸化物の発がん性分類を正式に取り消しました。
ECHA公式ウェブサイトの調整
- チタン二酸化物の元のエントリー「Carc. 2; H351 (inh)」はC&Lインベントリから削除されました。
- 意向登録簿も同時に更新され、「調和分類のさらなる計画なし」と示されています。
- 「チタン二酸化物の分類および表示に関するガイダンス」の以前のPDFバージョンは削除されました。
現在、チタン二酸化物はEU内で「発がん性」の警告表示を付ける必要がなくなりました。輸出包装、安全データシート(SDS)、職業曝露限界に関する対応要件も緩和されています。CIRSは引き続きEUにおけるチタン二酸化物の分類に関する動向を監視し、企業のコンプライアンス維持を支援します。
詳細情報