2025年12月22日、危険化学品安全法案は第14期全国人民代表大会常務委員会第19回会議で正式に第3回審議に提出されました。審議用の案はその後、広く意見を募るために公開されます。以前、この案は2024年12月の第13回常務委員会で第1回審議を受け、2025年9月の第17回会議で第2回審議が行われました。
背景
中国は世界有数の危険化学品の生産者、使用者、輸入者、輸出者、消費者であり、多くの産業分野にわたる巨大な規模を有しています。しかし、生産の安全状況は依然として厳しいものがあります。現行の規制枠組みはサプライチェーン全体および多段階の安全管理要求に対応しきれておらず、安全管理能力を向上させるための専門的な立法が必要とされています。本法案は、中国における危険化学品の登録・識別、計画と立地、生産および保管の安全、使用の安全、運用の安全、輸送の安全、廃棄物処理の安全、事故の緊急救助、法的責任など様々な側面の規定を定めています。危険化学品の生産、保管、使用、運用、輸送の安全管理に適用される、危険化学品のライフサイクル全体を網羅する安全監督体制の確立を目指しています。
第3回審議案における新規定
- 人員の定期的な安全教育の強化
事前の職務訓練と評価の規定に加え、第3回審議案では危険化学品生産企業に対し、安全教育管理体制の確立・改善、定期的な訓練の実施、従業員の安全意識と技能の向上を義務付ける規定が追加されました。
- 道路輸送全体の動的監視の実施
危険化学品の道路輸送企業は、車両と運転者の運行状況をリアルタイムで監視・管理し、速度超過、疲労運転、指定経路逸脱などの違法運転行為を速やかに是正することが求められます。
- 公衆の知る権利の保障
危険化学品を生産または保管する企業は、3年ごとに機関に委託して生産安全状況の安全評価を実施し、安全評価報告書を作成しなければなりません。報告書には、生産安全状況の問題点の是正計画と是正後の結論的意見を含め、公表しなければなりません。
- 個人使用の規制
危険化学品を使用する個人は、その危険性、正しい使用方法、防護措置を理解し、違法な使用、保管、廃棄をしてはなりません。
- 責任の強化
法案は違反に対する罰金額を引き上げ、重大な違反に対しては直接責任者およびその他の直接責任者に罰金を科し、主要責任者の職業資格の制限も法律に基づき行います。
法案の核心内容
- サプライチェーン全体および全段階にわたる厳格な安全管理
登録、生産、保管、使用、運用、輸送、廃棄の各段階の安全管理に対して具体的な要求や一貫した規定を提示し、規制措置の改善を図っています。
- 危険化学品事業体の主体的責任の強化
危険化学品事業体は全従業員の生産安全責任制度を実施し、潜在的危険の特定と是正手順を改善し、安全施設・設備を設置し、従業員の安全意識と技能レベルを向上させることが求められます。
- 政府の監督責任の明確化
緊急管理、公安、市場規制、環境保護、交通などの部門間の責任分担を明確にし、危険化学品の安全監督管理の調整と合同取締りの強化を図っています。
- 計画と立地の調整
危険化学品の生産・保管における計画の調整と合理的な立地を要求し、化学工業団地の認証、再評価、安全管理を強化し、安全管理レベルの向上を図っています。
- 緊急救助能力とチーム編成の強化
県級以上の地方人民政府と危険化学品事業体は緊急救助能力の強化、緊急訓練の実施、従業員の緊急対応能力の向上を図ることが規定されています。
- 危険化学品安全に寄与する社会環境の醸成
危険化学品安全に関する知識の普及・啓発を促進し、違反や重大事故の危険情報の通報を奨励します。
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