EUは消防用泡消火剤におけるPFAS禁止を採択：REACH規則改正は2030年までに完全施行 | ニュース

2025年10月2日、欧州委員会は正式に規則（EU）2025/1988を採択し、EU REACH規則（（EC）No 1907/2006）の付属書XVIIを改正して、消防用泡消火剤におけるパーフルオロアルキル物質（PFAS）の使用を明確に制限しました。この改正は10月3日にEU官報に掲載されました。

規制の詳細

規則（EC）No 1907/2006の付属書XVIIに以下の項目が追加されます：

パーフルオロアルキル物質（PFAS）は、少なくとも1つの完全にフッ素化されたメチル（CF3）またはメチレン（CF2）炭素原子（H/Cl/Br/Iが付いていないもの）を含む物質と定義されます。

1.	2025年10月23日以降、消防用泡消火剤において、すべてのPFASの合計濃度が1 mg/L以上のものは市場に出回らず、使用されてはなりません。

第1項は以下には適用されません：

(a)	パーフルオロオクタンスルホン酸（PFOS）、その塩類およびPFOS関連化合物C8F17SO3X、パーフルオロオクタン酸（PFOA）、その塩類およびPFOA関連化合物、パーフルオロヘキサンスルホン酸（PFHxS）、その塩類およびPFHxS関連化合物は、規則（EU）2019/1021の付属書Iにより対象とされます。

(b)	式CnF2n +1-C(= O)OH（n = 8、9、10、11、12、または13）の線状および分岐パーフルオロカルボン酸（C9-C14 PFCAs）およびその塩類、並びにこれらの組み合わせは、項目68で制限されています。

(c)	アンデカフルオロヘキサン酸（PFHxA）、その塩類およびPFHxA関連物質は、項目79で制限される用途に適用されます。

3.	すべてのPFASの合計濃度を決定する際、第2項の例外が適用される物質も含めて評価されます。

4.	第1項の例外として、最良の利用可能な技術に従って洗浄された機器由来のフッ素を含まない消防用泡消火剤（携帯用消火器を除く）におけるPFASの合計濃度は50 mg/Lを超えてはなりません。欧州委員会はこの例外を2025年10月23日までに見直します。

第1項の例外として、PFASは以下の場合にすべてのPFASの合計濃度が1 mg/L以上で市場に出回ることが許されます：

(a)	2026年10月23日まで、携帯用消火器内の消防用泡消火剤において；

(b)	2027年4月23日まで、携帯用消火器内の耐アルコール消防用泡消火剤において；

(c)

2025年10月23日までに、以下の用途の消防用泡消火剤において；

(i)	指令2012/18/EUに該当する施設。民間航空（民間空港を含む）はこの例外の対象外です；

(ii)	海洋石油・ガス産業に属する施設；

(iii)

軍用艦艇；

(iv)	2025年10月23日以前に消防用泡消火剤が搭載された民間船舶。

第1項の例外として、PFASは以下の場合にすべてのPFASの合計濃度が1 mg/L以上で消防用泡消火剤に使用されることが許されます：

(a)

2027年4月23日までの間、以下の用途において；

(i)	消防システムの機能試験を除く訓練および試験（すべての放出が封じ込められている場合に限る）；

(ii)	公共消防サービスおよび公共消防サービスの機能を行う民間消防サービス（指令2012/18/EUに該当する施設での産業火災介入およびそのための泡および装置の使用を除く）；

(b)	2027年12月31日まで、携帯用消火器において；

(c)	第5項(c)に該当する場合は2035年10月23日まで。欧州委員会はこの例外の有効期間終了前に見直しを行います。

2026年10月23日以降、すべてのPFASの合計濃度が1 mg/L以上のPFASを含む消防用泡消火剤の使用は、第1項および第6項(c)に従い、以下の条件を満たす必要があります。使用者は以下を行うこと：

(a)	消防用泡消火剤は可燃性液体（クラスB火災）の消火にのみ使用することを確実にすること；

(b)	消防用泡消火剤の環境への排出および直接的・間接的な人間への曝露を技術的かつ実際的に可能な限り低減すること；

(c)	消防用泡消火剤の使用に由来する未使用の泡消火剤およびPFAS含有廃棄物（廃水を含む）を技術的かつ実際的に可能な限り分別収集し、PFAS含有量が破壊または不可逆的に変換されるよう適切に処理することを確実にすること；

(d)

PFASを含む消防用泡消火剤の使用場所に特化した「PFAS含有消防用泡消火剤管理計画」を策定し、以下を含むこと：

(i)	現場での消防用泡消火剤の使用条件および量の詳細、(b)項の条件がどのように満たされているかの文書化；

(ii)	(c)項に基づく収集および適切な処理に関する情報；

(iii)

機器の清掃および保守の種類と方法の詳細；

(iv)	消防用泡消火剤の偶発的な漏洩・流出が発生した場合の対応計画および関連する場合はその後の対応の文書化；

(v)	PFAS含有消防用泡消火剤をフッ素を含まない消防用泡消火剤に代替するための戦略。管理計画は毎年見直され、少なくとも15年間、要求に応じて権限ある当局による検査のために利用可能に保たれます。

8.	2026年10月23日以降、すべてのPFASの合計濃度が1 mg/L以上のPFASを含む消防用泡消火剤（携帯用消火器を除く）が市場に出回る場合、第10項に従ってラベル表示が必要です。関係する加盟国が別途定めない限り、ラベルは消防用泡消火剤が市場に出回る加盟国の公用語で記載されます。

9.	2026年10月23日以降、PFAS含有消防用泡消火剤の使用者は、未使用の消防用泡消火剤およびPFAS含有廃棄物（廃水を含む）の在庫がすべてのPFASの合計濃度が1 mg/L以上の場合、第10項に従ってラベル表示を行うことを確実にしなければなりません。関係する加盟国が別途定めない限り、ラベルは未使用の消防用泡消火剤およびPFAS含有廃棄物（廃水を含む）の在庫が発生し処理される加盟国の公用語で記載されます。

10.	第8項および第9項の目的のため、ラベル表示には以下の文言を含めるものとします：「警告：すべてのPFASの合計濃度が1 mg/L以上のパーフルオロアルキル物質（PFAS）を含みます」。この情報は視認可能で、読みやすく、消えないように表示されなければなりません。

11.

この項目の目的のため、以下の定義が適用されます：

(a)	「携帯用消火器」とは、手で運搬・操作でき、作動状態で質量が20 kg以下であることを目的とした消火器で、標準EN3-7に準拠したもの、150リットル以下の移動式消火器（標準EN-1866準拠）、および標準EN-16856に準拠したスプレー缶消火器を指します；

(b)	「消防用泡消火剤」とは、泡による消火を目的とした混合物であり、消防用泡消火剤濃縮液および泡を生成するための消防用泡消火剤溶液を含みますが、これらに限定されません；

(c)	「未使用の消防用泡消火剤の在庫」とは、まだ火災消火に使用されていない消防用泡消火剤を指します。’

この規則は欧州連合官報に掲載された翌日（2025年10月23日）に発効し、すべての加盟国で直接適用されます。

詳細情報

欧州官報

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