2025年6月20日、米国環境保護庁(EPA)は有害物質規制法(TSCA)に基づき、1,1-ジクロロエタンの最終リスク評価を発表しました。この評価では、1,1-ジクロロエタンが3つの使用条件(COUs)において人の健康に対して不合理なリスクをもたらすと結論付けられましたが、一般公衆や環境に対して重大なリスクは示されていません。
背景
1,1-ジクロロエタンは無色の油状液体で、クロロホルムやエーテルに似た臭気を持ちます。揮発性があり、水にはわずかに溶けます。主に他の塩素化溶剤の製造中間体として使用され、また一部は研究室での研究に用いられます。2019年12月にTSCAの下で高優先度物質に指定されました。リスク評価の範囲は2020年8月に確定され、2024年に草案が公開され、一般からの意見募集と科学的査読が行われました。
リスク評価の主な所見
1. 人の健康へのリスク
データ不足のため、EPAはリスク評価において代替物質として1,2-ジクロロエタンを使用しました。評価結果は以下の通りです:
- 一般人口に対しては不合理なリスクは認められませんでした。
- 以下の3つの使用条件において、1,1-ジクロロエタンに曝露する労働者に対して不合理なリスクが認められました:
- 基礎有機化学品製造の中間体としての処理。
- 他の化学製品および調製品製造の中間体としての処理。
- リサイクル。
2. 環境へのリスク
EPAは、1,1-ジクロロエタンの製造、処理、使用、廃棄時の環境曝露を評価し、水生生物(表層水および堆積物経由)および陸生生物(土壌、表層水、堆積物経由)への曝露を含みます。評価の結果、環境に対して不合理なリスクは認められませんでした。
今後の対応
EPAはTSCA第6条に基づき、特定された不合理なリスクに対処するためのリスク管理プロセスを開始します。法律により、EPAは1年以内に規則案を提案する義務があります。提案された規則案については、最終決定前に一般から意見を募集し、労働者が特定されたリスクから保護されることを確保します。
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