2025年6月27日、欧州委員会は官報を発行し、持続性有機汚染物質(POPs)に関する2019年6月20日の欧州議会および理事会の規則(EU)2019/1021を改正する委任規則(EU)2025/718を採択しました。改正により、UTC限度の引き締め、用語の更新、免除の撤廃を通じてPFOSの規制が強化されます。
背景
規則(EU)2019/1021は、POPsに関するEUの国際的な約束を実施しています。この規則の付属書Iは、当初PFOSの非意図的微量汚染物質(UTC)限度を設定していました。EUで最初に規制されたパーフルオロアルキル物質(PFAS)の一つとして、PFOSのUTC限度は早期に設定されました。近年、類似の用途を持つペルフルオロオクタン酸(PFOA)が規則(EU)2019/1021の付属書Iに追加され、そのUTC限度はPFOSよりも大幅に低く設定されています。これは、PFOSの汚染レベルをより低く抑えることが技術的に可能であることを示しています。そのため、EU委員会はPFOSのUTC限度をPFOAの基準に合わせて調整しました。
主な改正点
1. UTC限度の引き締め
- 物質、混合物、または製品中に含まれるPFOSまたはその塩の濃度:UTC限度が10 mg/kgから0.025 mg/kg(0.0000025%)に引き下げられ、PFOAの基準に合わせられました。
- すべてのPFOS関連化合物の濃度の合計:限度が1 mg/kg(0.0001%)に引き下げられました。
2. 用語の更新
付属書IのPFOSの定義が「ペルフルオロオクタンスルホン酸およびその誘導体(PFOS)」から「ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)、その塩およびPFOS関連化合物C8F17SO2X (X = OH、金属塩(O-M+)、ハライド、アミド、ならびにポリマーを含むその他の関連化合物)」と改訂されました。これによりPFOSの規制用語がPFOAと調和し、関連物質の範囲が拡大されます。
3. 硬質クロム(VI)めっき阻害剤におけるPFOSの免除の撤廃
硬質クロム(VI)めっき阻害剤にPFOSの使用を認める免除が削除されました。これはEU全域で代替品が利用可能であることを反映しています。
施行スケジュール
改正規則は官報掲載後20日で発効し、すべてのEU加盟国で拘束力を持ち直接適用されます。更新された限度値や免除の撤廃などの主要規定は2025年12月3日から施行され、化学品やめっき業界などの産業および加盟国に準拠のための時間を提供します。影響を受ける分野は新たなPFOS基準に対応するため生産プロセスを調整する必要があります。
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