2025年7月14日、EUは正式に委任規則(EU) 2025/1399を官報に採択し、EU持続性有機汚染物質(POPs)規則(EU 2019/1021)の付属書Iにおけるペルフルオロオクタン酸(PFOA)、その塩類およびPFOA関連化合物に関する規制条項を改訂しました。
主な改正点
1. 特定免除期間の延長
PFOA含有消火泡の使用に関する免除期間は、当初2025年7月4日に終了予定でしたが、2025年12月3日まで延長されました。欧州委員会は加盟国および産業界からのフィードバックを踏まえ、既存の消火システムにおけるPFOA関連化合物の検出が困難であることや残留レベルの過小評価が遵守を妨げる可能性があることを指摘しました。この延長はストックホルム条約に基づく最大許容期間を示しています。
2. 微量限界の調整
既存の泡および濃縮液で現在の非意図的微量汚染物質(UTC)限界(0.025 mg/kg)を頻繁に超過しているため、新規則では 「消火泡の暫定限界」 を導入しています:
- PFOAおよびその塩類:1 mg/kg (0.0001%);
- 個別のPFOA関連化合物またはその組み合わせ:10 mg/kg (0.001%)。
これらの緩和された限界は 「設置済み消火システム」にのみ適用され、交換のための期間として 2028年8月3日までの3年間有効です。古いシステムに残留するPFOAが新たに設置されたフッ素フリー泡を汚染する可能性を認識し、規則は「フッ素フリー泡」の総残留限界を10 mg/kgに設定し、システムの清掃には 「最良利用可能技術(BAT)」 の使用を義務付けています。
3. 用語および遡及的規定
本規則は初めて法的に 「消火泡」 を、「泡消火に使用される混合物であり、泡濃縮液および調製溶液を含むがこれらに限定されないもの」と定義しています。
さらに、EU内でのPFOA、その塩類および関連化合物を含む製品の使用は、特定免除の期限後も以下の用途において許可されています:
- 半導体製造におけるフォトリソグラフィーまたはエッチング工程
- フィルムに施された写真用コーティング
- 労働者の健康および安全にリスクをもたらす危険液体から保護するための油および水の撥水性繊維
- 侵襲的および埋め込み型医療機器
今後の展開
欧州委員会は2026年末までに加盟国のPFOA含有システムの置換進捗を評価し、実施結果に基づき限界のさらなる調整を行う可能性があります。
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